売上至上の落とし穴…月次訪問で実際あった話

売上増に貢献していた新事業が足を引っ張っていた

会社全体の売上は増加していましたが、会社の資金繰りはどんどん苦しくなる一方でした。

そこで、財務諸表を丹念に調べたところ、ここ1年で売上を上げてきた新規事業に問題があることが判明しました。工事の請負金額は大きく会社の売上増加に貢献しています。しかし、材料仕入代金を先に支払って、売掛金回収はそれから約1年後という状態で、資金繰りを非常に切迫させるものでした。

この新規事業を立ち上げるに当たっては年利数パーセントの1年満期の定期預金で金利を得ることを考えれば、会社にとって儲けを生むと考えられていましたが、想定以上に会社の資金繰りに余裕がなかったため、資金難に陥る結果となっていました。

そこで、得意先に売上代金の支払いの早期化を要請しましたが、受けてもらえなかったためやむを得ずその事業から撤退することとしました。

適正な融資金額の決定

資金繰り表で現預金残高をおっていき、残高がマイナスになる部分に備えて、借入を予定していましたが、売上代金の回収時期を早めることができる得意先に対して回収時期の早期化を要請し、一部資金繰りが改善したため、当初より少ない融資追加額で済みました。

コメント

売上ばかり追及し行動すると、利益が確保できなかったり、売掛金が増加して資金繰りが悪化したりと、逆に会社の状態を悪くさせることがあります。
利益を確保すること、手持ち資金を確保することを考え、決して売上至上主義に陥らないことです。

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